南海地震に備える香川県内の取り組み/「ため池決壊」にマップ作成/県有施設耐震化を前倒し/災害時の相互応援体制づくりも
沿岸部では防潮堤の整備が進む
東日本大震災を受けて「防災対策検討本部」を5月に新設した香川県では、防災対策項目として242件を洗い出し、早急に対応する131件、今後検討する41件、現在の取り組みを継続する70件に整理。6月と9月の定例会では補正予算も計上した。 その大きな柱として、県有公共施設の耐震化を当初計画より大幅に前倒しして実施する。 防災拠点施設は2013年度末までに耐震改修等を完了させるほか、県立高校や特別支援学校、警察署の建て替えなどは予算を増額して15年度末までに集中的に整備。多数の県民が利用する公共施設なども15年度末までに、おおむね100%の耐震化を進めていく。04年の高潮被害を受けて、県内沿岸部では総延長139キロに防潮堤を整備するハード事業も進んでいる。05年度から10年計画の1期事業では約66キロを整備するが、このうち約28キロを占める高松市では、台風や津波を想定した防潮堤が香西港などで完成。
香西港の堤防かさ上げ状況を視察
県土木部港湾課によると、「昨年度末までに県市合計で68%という状況。未着手地域も順次整備する」(白川正広課長)方針。そのほか県事業では、液状化対策の一環として海岸保全施設等の安全性を点検するため、護岸や水門、河川堤防や港湾のボーリング調査も実施。ソフト対策でも、防災教室講習会や学校防災教育の充実、学校の地震防災対策マニュアルの見直しを進める。また、災害時の県内市町相互応援体制づくりは、「四国でも珍しい取り組み」(県防災局危機管理課・河井淳課長)として注目され、整備を急いでいる。
「内陸の津波」への備えが急務
次の南海地震では、ため池の決壊による「内陸の津波」に不安を抱く声も強い。
市内のため池を視察(ハザードマップの作成状況等につき説明を受ける)
昔から水不足に悩まされてきた香川県内には、農業用ため池が1万4619カ所もあり、密集度は全国トップ。大部分は築造から数百年以上が経過し、耐震性は不明なものが大半で、貯水量約1500万トンで国内最大の満濃池(まんのう町)も、1854年の安政南海地震で決壊した歴史がある。東日本大震災でも福島県のため池が決壊して計8人が死亡・行方不明になっており、対策は急務の課題だ。県は緊急的なソフト対策として、貯水量10万トン以上の約200カ所を対象に、ため池の決壊による浸水被害などを想定したハザードマップ作成支援の補正予算を計上。このうち45カ所ある高松市ではまず今年度中に、大池、野田池、橘池の3カ所について作成する予定。いずれも住宅密集地で学校など公共施設も近く、大きな被害が心配されるところで、「自主防災組織などの避難計画に反映させていく」(市産業経済部土地改良課・中山博信課長)考え。
ソフト対策など公明が積極推進
南海地震に備えた防災強化について、公明党は香川県議会と各市町議会で、6月および9月定例会で積極的に提言を行ってきた。特にソフト対策では、災害情報を携帯電話に配信する県内エリアメールが実現したほか、被災者支援システムの導入、避難所となる学校施設の整備、防災教育の充実などを推進してきた。住民のさらなる意識向上を図る着実な取り組みを行なって参ります。
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